2021/11/30 に公開
11月25日(木)、アンダービースティーが初めてのホールワンマン公演「UB the evidence」を行った。この日は、生バンド演奏に弦楽カルテットとも共演。アンコールからは、新メンバー3人を加え、新体制となったアンダービースティーとしてのライブも見せてくれた。
本当なら、5人体制のアンダービースティーとして日本青年館の舞台に彼女たちは立ちたかった。今、メンバーの長瀬夏帆は療養のために休んでいる。日本青年館という初めてのホール公演を行えるまでの道を作り上げてきたのが植竹優亜・春乃友夢・長瀬夏帆・神谷美緒・今井莉南の5人によるアンダービースティーだったからこそ、準備のギリギリまで彼女たちは長瀬夏帆の復帰を待っていた。
今回、残念ながら「5人で立つ」という5人の夢は叶わなかった。でも、長瀬夏帆の意志も背負い、この日の4人は、5人のアンダービースティーとして舞台に立っていた。
ワンマン公演ではお馴染み、この日もアンダービースティーは、バンド演奏を従えてライブを行っていた。轟音ロックを軸に据えているグループのように、バンド演奏で楽曲を奏でてこそ、本来あるべきアンダービースティーとしての姿。
この日のライブは「mu-these」から幕を開け、「Nyx」「灼熱ECSTASY」「Real Blade」と、激しさを増してゆく形を取っていた。身体を直撃する轟音を背負いながら歌う4人。その声からは、つねに攻めた姿勢が見えていた。でも、力強く、雄々しく歌うことが彼女たちのスタイルではない。沸き立つ熱を胸に抱きながら、この日も4人は、美メロな曲の魅力を生かすように、轟音の上で美しく温かな歌声を響かせていた。どの曲にも、現状を打破し未来をつかむ強い意志を示しながら、滾るその思いを強くぶつけるのではなく、気持ち揺れ動く様の見えるそれぞれの美しい声や4人のハーモニーという形を持って届けていた。だから、身体は激しい音に興奮を覚えながらも、どの楽曲でも、彼女たちの思いを詰め込んだ言葉に耳を傾けたくなる。
中盤では、ピアノとアコギの演奏も加えた弦楽四重奏との共演も登場。弦楽の音色によってさらに切なさ増した「YNBK」では、悲しみに打ち震える彼女たちの心の声が、より繊細に、さらに明瞭化されて伝わってきた。嬉しかったのが、いつも高ぶる感情を激しくぶつける轟音曲の「ANTHRO」を、美しい弦楽バラードスタイルで届けたこと。包み込むような優しい歌声の中から滾る思いが伝わるのも、「ANTHRO」の歌詞が心燃え立つ熱情を持っているから。 言葉の一つ一つに、彼女たちの切々とした歌声の中にも、確かな熱を感じていた。バラードにしたことでいつも以上に気持ちの揺れが歌声から見えてきたように、狂気を抱いた美しい歌声に触れている間もずっと血が騒いでいた。
ふたたび轟音演奏を武器に、4人は身体の奥底から止めどなく沸き立つ熱情をぶつけるよう、「Past Perfume」「beast」を通して激しく攻めた姿を見せていた。舞台の上にいたのは4人だが、彼女たちは長瀬夏帆の意志もしっかりと背負いながら、「これが5人のアンダービースティーだ」という姿で、観客たちを煽り続けていた。
アンダービースティーのライブに熱狂という風景を長く刻み続けてきた「occult propose」では、真正面から熱をぶつけるのではなく、感情を内側から高め、高揚と恍惚の世界へと連れだしてくれた。その歌声に、春乃友夢の煽り声へ刺激を受け、身体が武者震いを覚えていた。
最後にアンダービースティーは、感情を剥き出しに「roll a DICE」を突きつけた。観客たちが暴れるのは大歓迎だ。でも、舞台上の彼女たちは、つねに麗美なパフォーマンスを見せ、一つ一つ物語を描きながらここまで攻め続けてきた。だからアンダービースティーのライブに心が震え、魂が奮い立つのだろう。彼女たちのライブ姿に熱情消えないドラマを覚え、騒ぎながらも、その姿をずっと熱い視線を向けながら追いかけたくなる。
「新しいアンダービースティーのスタートを目に焼き付けてください」。植竹優亜の言葉を合図に、アンコールは新メンバーの大坂鈴炎・桜井かなみ・羽石楓の3人を加えた7人編成の姿のもと、アンダービースティーの歩みを活動初期から支えてきた「raven」を歌いながら始まった。舞台上が、とても華やかだ。これまで以上に見せるライブを、そして迫力あるハーモニーを彼女たちは響かせてゆく。「目指す場所へと辿りつける」と、彼女たちは拳を高く突き上げ歌っていた。その言葉を、新体制になったアンダービースティーが、これからの活動を通して示してゆくはずだ。
熱狂をさらに脹らませるように、アンダービースティーは「ROCK ALIVE」を熱唱。一体化した動きを持って激しく攻めるメンバーたち。植竹優亜を中心に、両サイドに綺麗にメンバーらが広がった姿が、とても華やかだ。メンバーの細かい動きもしっかり合わせているからこそ、その姿がとても美しく、でも、力強くも見えていた。植竹優亜や春乃友夢が巧みにセンターを変わりながら歌をリード。進化したアンダービースティーが、これからの経験を元に、どんな風に黒い翼をはためかせてゆくのか、とても楽しみになってきた。
「5人で培ってきた歴史を無くさないためにも、4人でも、5人のアンダービースティーとしての思いを持って立つことが大切だと思って舞台に立ちました。新体制も、この日に披露しようと決めました。いつだって8人になる準備はできています。いつか8人で、笑顔で歌えることを願って」
春乃友夢のその言葉が嬉しい。そう、新体制のアンダービースティーは7人ではない、そこには長瀬夏帆という最強のメンバーの席も用意してある。8人編成のアンダービースティーとして、彼女らはここから新しい物語を描き出す。そんな未来を照らすように、アンダービースティーは「happiness to you!」を歌っていた。その先に見える確かな8人の物語を描くために、今は7人で、この舞台へ新しい未来を呼びよせていた。
この日のライブを通し、僕らはアンダービースティーの決意を見せてもらった。「顔を上げて胸を張れ。そうすることで私たちの未来には絶対に笑顔と幸せが待っている」。彼女たちはそう信じている。その決意を、この日のライブで受け止められたことがとても嬉しかった。
アンダービースティーは、2022年2月27日に中野ZEROホール大で、5月20日には、結成8周年公演としてメルパルク東京ホールでのワンマン公演が決定。その姿を、引き続き追いかけたい。
PHOTO:KURO
TEXT:長澤智典
セットリスト
「mu-these」
「Nyx」
「灼熱ECSTASY」
「Real Blade」
「YNBK」【ストリングス】
「ANTHRO」【ストリングス】
「Past Perfume」
「beast」
「occult propose」
「roll a DICE」
-ENCORE^
「raven」
「ROCK ALIVE」
「happiness to you!」
10}
★インフォメーション★
2/27(日)中野ZEROホール 大
「ワンマンライブ」
5/20(金)メルパルク東京ホール
「結成8周年記念公演」
■アンダービースティー SNS
https://twitter.com/underbeasty
https://underbeasty.jp/
植竹優亜(https://twitter.com/yuairisUB)
春乃友夢(https://twitter.com/yumu_34 )
長瀬夏帆(https://twitter.com/ub_nagase )
神谷美緒(https://twitter.com/kamio03o12 )
今井莉南(https://twitter.com/imai_rina )
新メンバー
大坂鈴炎(https://twitter.com/osaka_suzuka)
桜井かなみ(https://twitter.com/kanaminnn1021)
羽石楓(https://twitter.com/kaede_ub)
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