2017/03/03 に公開
——地下アイドル“海”を潜行する、姫乃たまがつづる……アイドル界を取り巻くココロのお話。
割れんばかりの歓声に包まれながら、観客に背を向けないよう、笑顔で手を振って舞台から立ち去る。
満員の客席では、誰もが笑っていて、穏やかな夢でも見ているような表情をしていた。舞台袖の床に貼られた見切れ線のテープを越えた瞬間、私は楽屋へつながる階段の手すりにすがって、目頭を押さえた。
演奏を終えたゲストミュージシャンたちが、私の姿を見て拍手をしながら微笑んでいる。楽屋の前で待ってくれていたヘアメイクさんが、そっと微笑みながら、私とカメラマンだけを楽屋へ入れて、外から扉を閉めた。楽屋の白い蛍光灯が、ワンマンライブの終演を告げる。
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