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松永直幸・鈴木愛結(アイドル横丁)、菊竹龍(TIF)、橋元恵一(@JAM)、2017年夏のアイドルフェス・イベントを語る。アイドルLOUNGE オフイベントVol.8レポート【前編】

2017/09/29 に公開

2017年9月5日、東京・六本木にてアイドルLOUNGE オフイベントVol.8「2017年夏のアイドルシーンを振り返る」が行われた。

アイドルシーンについて、ここでしか聞けないトークを展開するアイドルLOUNGE (https://lounge.dmm.com/detail/186/)

今回は、2017年夏のアイドルシーンを盛り上げた3つの大型フェス・イベントの責任者を招き、それぞれのイベントと相互のコラボなどの関係と、2017年夏、そして今後についてざっくばらんにお話いただいた。

ゲストとして、アイドル横丁夏まつり!!~2017~から松永直幸(まつながなおゆき)総合プロデューサーと鈴木愛結(すずきあいゆ)プロデューサー、TOKYO IDOL FESTIVAL2017から菊竹龍(きくたけりょう)総合プロデューサー、@JAM EXPO 2017から橋元恵一(はしもとけいいち)総合プロデューサーを招き、アイドルコンテンツプロデューサー濱田俊也氏のコーディネートでトークが展開された。

4名にお越しいただき、またかなり詳細なお話をいただいた事もあって、当日は通常のオフイベントの倍近い時間の講演となった。
そのため本稿も、前後編2回に分けてお届けする。


<アイドル横丁夏まつり!!~2017~>*2017年7月8日(土)・9(日) 横浜赤レンガパークにて開催

~総合プロデューサー 松永直幸(まつながなおゆき)氏~
1972年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後インディーズレーベルを設立。2011年7月アイドル横丁を立ち上げ。2015年5月にはアソビシステムとの共同事業として、レーベル「フジヤマプロジェクトジャパン」を設立。

~プロデューサー 鈴木愛結(すずきあいゆ)氏~
2006年秋葉原上陸。コンセプトカフェ、AKB48劇場、ハロプロショップ、SKEショップで働く。2011年アイドル総合グッズショップ「アイドル横丁」を企画、7月アキバ☆ソフマップ1号店に「アイドル横丁」オープン。アイドルグループ公式オリジナルグッズデザインや企画を行う。


<TOKYO IDOL FESTIVAL2017>*2017年8月4日(金)5日(土)・6(日) 東京お台場・青海地区にて開催

~総合プロデューサー 菊竹龍(きくたけりょう)氏~
大学卒業後、番組制作などを経験。のち、2015年春に立ち上がったTOKYO IDOL PROJECTのプロデューサーを経て、2016年秋に総合プロデューサーに就任、さらに、TOKYO IDOL FESTIVAL 2017総合プロデューサーとなる。


<@JAM EXPO 2017>*2017年8月26日(土)・27日(日) 横浜アリーナにて開催

~総合プロデューサー 橋元恵一(はしもとけいいち)氏~
1993年Sony musicに入社後、アーティストのクリエイティブプロデューサーとして、絢香、九州男、ケツメイシ、RAG FAIRなどを担当。 2010年よりグループ会社Zeppライブへ異動し、年間4万人を動員するカルチャーフェス“@JAM(あっとじゃむ)”の総合プロデュースを担当。その他、SPYAIRライブプロデュースをはじめ、SUPER☆GiRLSやParty Rockets GTほか多くのアイドルグループのプロデュースやイベントも手掛ける。


<コーディネート>

~濱田俊也(はまだしゅんや)氏(アイドルコンテンツプロデューサー)~
アイドルフェス・ライブ・ファンクラブ・映像配信・ゲームなど様々な取組のプロデューサーや責任者をこれまでつとめてきた。


【大型夏アイドルイベント・フェス責任者が、それぞれを語る】

濱田:今回は、この2017夏のアイドルシーンを盛り上げたイベントの責任者の皆様に来ていただきました。聴衆の方々もお客様、関係者の方々が約70社と多数お越しになっています。

まずは、アイドル横丁夏まつり!!~2017~(以下 横丁夏まつり)さんからお話をお聞きしたいと思います。
横丁夏まつりさんは、開始当時と今ではイベント自体がかなり変化した印象を受けています。

鈴木:横丁夏まつりは、当初は東京でライブ活動のなかったロコドルさんに出演いただいたり、ベイビーレイズさんやdropさんのお披露目という場所に選んでいただくなど、新しいアイドルにスポットを当てるようなラインナップが多かったですね。

2016年から横浜赤レンガパークに場所を移して、全て野外になって、“フェス感”というのは増したかなって思います。2017年はAKB48 Team 8さんなどにも出演していただきました。メジャーのグループもどんどん多くなっています。

松永:2016年は2万3千人くらい、2017年は3万人超にお越しいただきました。


(右から 松永直幸氏、鈴木愛結氏(いずれもアイドル横丁))


濱田:来場者が増えた要因はどう分析していますか?

鈴木:昨年よりステージを増やして5ステージにして、出演組数もかなり増やした事と、特にグラドルのほうもかなりの人数出しているので、そちらのファンの方にも来て頂けたのかなと。あとは1日出演の方も多かったですが、それでも2日間来たいと言ってくださるお客さんが多かった事、そして「夏の始まりはアイドル横丁」が定着した事だと思っています。

橋元:横丁夏まつりさんは、@JAM EXPO 2017(以下@JAM EXPO)とは屋内と屋外の違いも感じつつ、非常に見やすいフェスっていう印象がすごくありますね。2016年に幕張メッセで@JAM EXPOを開催したんですけど、横丁夏まつりさんも赤レンガに移られた年でしたから、どれぐらいの距離感で何デシベルの音を出していると音被りの問題がおきるのかは参考になりました。

松永:ステージの高さにはこだわっていて、全て180cmに設定しています。僕はロックフェスが好きで、最前列にいるときの距離感とかが好きなので、内部の運営のほうに、そこだけはキープするっていうわがままを言っています。

菊竹:TOKYO IDOL FESTIVAL2017(以下 TIF)もステージの高さはいろいろ検討してはいるのですが、公園や建物の屋上にステージを組んでいるので、対荷重の都合でなかなかスムーズにいかない部分もありますね。

濱田:なるほど。横丁夏まつりさんには、クリエイティブ面でのこだわりはどのようなことがありますか?

鈴木:アイドルコラボは最初からやっています。名前とか髪型を題材にした、ふざけたものが多いんですけど(笑)、そのふざけがウケているっていうことも多いと思います。

今年だと“りん りん りん コラボ”(名前が“りん”のアイドルを集めた企画)をやったりだとか、まだ1番地(メインステージ)に立てないようなグループから15歳のアイドルを集めて1番地に立ってもらって、「来年はここに立てるようにして欲しいな」っていう想いを持ってもらうコラボステージもやっています。

濱田:横丁夏まつりさんは楽しいコラボが多いですよね。
キャスティングについてですが、どうぶつビスケッツ×PPPさんを唯一キャスティングされていました。これはどういう経緯だったんでしょうか?

松永:昔から仲良くさせていただいている方が制作をしたのが、けものフレンズだったんです。そのうち、世の中がけものフレンズでざわざわしてきて、そして「これだけ騒ぎになっているって事は主題歌をやっているグループがいるだろう」と出演オファーの話をしにいったら、「面白いね」と。

菊竹:実は僕らの会議でも、けものフレンズさんの活躍ぶりは話題になっていて。ちょうどそのタイミングでリリースがアイドル横丁さんから来て、” どうぶつビスケッツ×PPP出演”って出ていたので、「さすが!はえーな!松永さん」ってなりました(笑)。

一同:(笑)。


(アイドル横丁夏まつり!!~2017~)


濱田:次にTIFについてお聞きします。菊竹PはTIFの4代目総合プロデューサーとなりましたが、実際にやってみてどうだったでしょうか?

菊竹:どうにか、とりあえずフェスを無事に終えられて良かったなと思っています。


(菊竹龍氏(TOKYO IDOL PROJECT))


濱田:きっと色々心配だったよね(笑)。(注:濱田はTIFの前総合プロデューサー)

菊竹:TIFの1週間前の天気予報でも、開催当日に台風が直撃するという経路予測だったので、ぎりぎりまでヒヤヒヤしていました。
お客さんの安全も考慮すると、中止も視野に入れなければいけない状況で、チケットの払い戻しとかどうしよう、と悩んでました(笑)。

濱田:(笑)。

横丁夏まつりさんも天気は気になりますよね。でも…、@JAM EXPOさんは天気は特に気にならないんじゃないですか?

松永:横丁夏まつりはめちゃめちゃ気になりますよ(笑)。

鈴木:新木場のときは割りと雨が多くかったですし。梅雨明けしていない時期だったので。

橋元:@JAM EXPOも気になりますよ(笑)。特典会などは屋外にあるので、雨の中やってもらうのは悪いなって気持ちがありますし。天気は良いほうがいいですね。

台風なんかがきちゃうと交通機関も乱れてしまいますし、アイドルイベントは晴れてこそだと思います。

濱田:そうでしたか。そうですよねぇ(笑)。

TIFですが、ご来場者は8.1万人。結果としてフェスとしての力はさらに高まったのかなと思いますが、今年の結果をどう考えていますか?

菊竹:2016年に2日間から3日間に拡大していますし、僕としては、2017年は2016年に実施した色んな事の検証と調整をキチンとやっていけば良いフェスになるだろうなって思い、そういうつもりで基本的なプランニングを行いました。

そんな中で僕がTIF2017で試みた大きなトライは、まずは何よりチェアマンとして指原莉乃さんに前面に立って頂いた事。それと日本全国での予選会の実施と、乃木坂46選抜メンバーのサプライズ出演でした。

濱田:48や46の出演も話題になりました。

菊竹:意識したわけではないんですが、出演が決まるとニュースになる量が違うので、お客さんからは「48、46ばっかりだよね」と見えてしまったと思います。それが今年の反省点だなと。

ひたむきに頑張っているけど、なかなかブレイクできない日本全国のアイドル達にスポットライトをあてる全国の予選会を開催しつつ、そこで勝ち抜いたグループが、紅白出演アイドル達と同じステージに立って思いっきり自分たちの魅力をたくさんのファンたちへ伝えられる場所を作る、というのが今回の新たなトライでした。こうしてアイドルシーン全体がどんどん相乗的に盛り上がって行く構造を作っていきたいと思います。


濱田:2016年だと、あーりん(佐々木彩夏。ももいろクローバーZ)、2017年では私立恵比寿中学さんや東京女子流さんと、アイドルの皆さんにTIFに帰ってきてもらっている感じも強いですね。

菊竹:我々はプラットフォームなので、コンセプトをブレさせずに、真摯に事務所の皆さんと向き合ってきた事が良かったのかもしれないですね。また、事務所さん側もTIFを一つの年間スケジュールのポイントにしてくれていて、TIFで○○を披露してから一年、みたいに、ある意味「(高校野球の)甲子園」みたいに捉えてくれていたりしますね。


(TOKYO IDOL FESTIVAL 2017)


濱田:そして、@JAM EXPOさんにお話をお聞きします。2017年、横浜に帰られていかがでしたでしょうか。

橋元:2年ぶりに帰ってきて、勝手が分かるので運営的にはすごくやりやすかったです。

集客は2万人と発表していました。イベントとしてはそこそこの数字かなと思います。ただ、右肩上がりじゃないほうが今年はいいのかな、あえて正直に集客数が下がっている事を伝えたほうがいいかと思いました。

終わった今、開催を9月ぐらいにしといたほうが良かったのかなっていう感じもしています(笑)。


(橋元恵一氏(@JAM))


濱田:しかし、集客数の発表って神経を使いますし、実際の数字を出す事はすごく勇気がいる事ですよね。

橋元:そうですね。ただ、リアルなチケット売上、数字は会社に対してはっきり出てきてしまう話なので。ここの赤字を取り返すって言う形で、通年で@JAMをやっています。そろそろ@JAM EXPO単体で黒字を出さないと、っていうところもあるのですが(笑)。

鈴木:来場者数で言えば、TIFさんと横丁夏まつりは無料の場所はありますけど、@JAM EXPOさんは無料の場所がないですよね。例えばですけど、横丁夏まつりはフードとかは普通に買えたりしますし。

濱田:そこはかなり違いがありますね。

それと、@JAM EXPOさんは “(@JAMという)年間のプロジェクトの山場”といいますか、そういった形で橋元さんは捉えられていると思います。
@JAMさんは年間通じて企画力の多彩さに定評があり、ブランドとしても定着しています。

橋元:元々@JAMは、2010年にアニソンとかボカロとか日本のポップカルチャーを集めたイベントをやろうというところから始めたんです。

濱田:そして@JAM EXPOについては今年はいかがだったでしょうか。

橋元:毎年、チャレンジをしてみて、結果を見て改善するというのを繰り返してきています。今年は、TIFさんが指原さんを起用して全方位で話を進めていくっていう状況が分かる中で、ウチは“コラボと復活”という2つをテーマにして進めていきました。

濱田:その中、特に復活のほうなんですけど、Dorothy Little Happyさんの5人体制の1日限りの復活企画が大きな話題になっていたと思います。そもそもどういう経緯で実現したんでしょうか。

橋元:復活企画をいくつかやりたいってなったときに、Dorothy Little Happyの5人体制復活は必須でした。ただ、昨年から考えていた企画で、その際は実現しなかったので今年も半分無理だろうなと思いながら進めていたら、マネジメントやレーベルなどの調整を経て、ようやく5日前に本当に実現したという事なんです。@JAM EXPOの企画のうち、特にDorothy Little Happy企画はすごく時間がかかりましたね。

濱田:なぜ、そこまでなさってでもDorothy Little Happy企画を進められたんでしょうか?

橋元:Dorothy Little Happy企画の大もとの始まりは、「僕が見たいと思ったから皆も見たいだろう」という発想でした。自分が関わっていたグループだからこそ、自身の手でやりたいって思いがありました。

会場:橋元さんとしては、Dorothy Little Happy企画があそこまで大きな話題になった理由をどうお考えでしょうか。

橋元:発表したときは正直、厳しい意見もありました。「もう2度とない」って5人も言っていて、「だったら全力でとことんやろう」という開き直りが良かったのかもしれません。やってみたら会場中のすべての皆さんが満足だったと思うんですよ。終わってみたら文字通りハッピーだった、よかったなと。

濱田:Dorothy Little HappyさんにはTIFでもかなりお世話になっていました。

橋元:そうですよね。横丁夏まつりさんとTIFさんでもそれぞれ必要なグループですよね。

濱田:5人体制の復活をTIFでこそやれたらなっていう気もしましたが、菊竹P、難しいよね。

菊竹:そこはTIFだからできた、@JAMさんだからできた、というイベント起因ではなく、橋元さんだからこそできたと思いました。


(@JAM EXPO 2017)


▽後編はこちら
松永直幸・鈴木愛結(アイドル横丁)、菊竹龍(TIF)、橋元恵一(@JAM)、2017年夏のアイドルフェス・イベントを語る。アイドルLOUNGE オフイベントVol.8レポート【後編】

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