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高瀬裕章(ディアステージ代表取締役)、「アイドルマネジメントの魅力」と「でんぱ組.incとディアステージのこれから」を語る。アイドルLOUNGE オフイベントVol.3レポート【前編】

2017/02/13 に公開

2017年1月31日、東京・恵比寿にて「アイドルLOUNGE オフイベントVol.3~アイドルマネジメントの魅力~」が行われた。

アイドルシーンで精力的に活動しているゲストスピーカーを招き、ここでしか聞けないトークを展開するアイドルLOUNGE (https://lounge.dmm.com/detail/186/)
今回は、アイドルのトップマネジメントの考え方と手法を知ることがテーマに掲げられた。

ゲストには、トップアイドル「でんぱ組.inc」をはじめとしたアイドルマネジメントを担い、さらには店舗やネット、イベントの実施と成功でアイドルシーンをリードする、高瀬裕章氏(株式会社ディアステージ 代表取締役)を招き、アイドルコンテンツプロデューサーの濵田俊也氏がコーディネーターとなってトークが展開された。

~高瀬裕章(たかせひろあき)氏(株式会社ディアステージ 代表取締役)~
1999年大学卒業後、イベント運営会社へ入社し某女性シンガーソングライターの専任スタッフとして国内及び海外での活動を約12年間に渡ってサポート、コンサートのワールドツアー制作なども担当。2011年に株式会社ディアステージを設立、アニソンシンガーの育成や、アイドルグループ「でんぱ組.inc」のプロデュースをはじめ、秋葉原ディアステージの店舗マネジメント、自社でフェスや運動会などのイベントも仕掛けるなど、ディアステージの全プロジェクトをプランニングしている。

~濵田俊也(はまだしゅんや)氏(アイドルコンテンツプロデューサー/アイドルLOUNGEコーディネーター)~
アイドルフェス・ライブ・ファンクラブ・映像配信・ゲームなど様々な取組のプロデューサーや責任者をこれまでつとめてきた。


▼「ファンとのコミュニケーションを学ぶことが面白い」〜高瀬氏が進めるディアステージ各事業〜

濵田:高瀬さんといえば、イベントやアイドルコンテンツの関係者は皆、「とっても手ごわい」と思っているはずです(笑)。打ち合わせなどさせて頂くと、細かいところまでとことん考え計算されているといつも思います。

高瀬さんは、アイドルマネジメント、事務所経営者としてスケールの大きいお仕事を色々と考え、それぞれ同じものがない、個性的でファンが楽しめるものを多く実行されています。そんな、高瀬さんは、アイドルマネジメントのどんなところが面白いと思っておられるんでしょうか。

高瀬:ファンとのコミュニケーションを学ぶことは面白いですね。自分がまだそのジャンルに対する理解が足りないときは、「こういうことをすればファンの皆さんが喜んでくれるんじゃないかな」というアイデアをライブやイベントで実施して、ファンの方々の盛り上がりを見て勉強していました。来場されたファンが「今日のイベント、神イベだったよね」って言っているのを遠巻きに聞いたりすると、ありがたく、楽しくもあり、そう感じてくれる方を増やすのがまたすごく楽しいですね。

 一方で、ファンの方たちに気づかれないようにこちらの意図する方向に導くこともやっています。でんぱ組.incで積極的にやろうと思ったのは、「こういうお客さんを増やしたい」と自分の中で考え、さらには元々いた既存のファンの方もそういう方向に導くこと。私は直接ファンの方とは触れ合わないわけですけれども、でんぱ組.incを通して音楽やファッションを理解してもらってどんどん受け入れてもらっているのを感じるのが、ファンの方とのコミュニケーションにおいてすごく面白い。逆に自分が意図しない方向(良い意味で)にいったときに分析することも楽しいです。

濵田:私も共感します。ファンの反応を見るというのはアイドルマネジメント担当者にとってもイベントなどコンテンツ制作者にとっても楽しいことだと思います。




濵田:ディアステージさんは、エンターテイメント界において、垂直統合を進めて成功した企業だと思います。

(垂直統合:ある企業が、自社製品・サービスを市場に出すにあたり、場合によってはM&Aなどで経営資源を補強しながら事業の上流から下流まで統合し高い競争力を保つビジネスモデル)


株式会社ディアステージの主な事業 
■タレントマネジメント
■ライブイベントスペース及びバー「秋葉原ディアステージ」運営
■DJバー「MOGRA」運営
■自社タレント、他社タレントイベント企画・運営、通販サイト運営
■自社タレント、他社タレントグッズの制作販売、
■専用チャンネル「81チャンネル」の運営


濵田:今回のオフイベントはアイドルマネジメントをテーマにしていますけど、プロデューサーとしても高瀬さんが行動されているからこそ、ディアステージ全体のやり方とアイドルマネジメントの仕組みと仕掛けがはまってうまくいってきたんだと思います。

 マネジメントや自社店舗、イベントを自力で息継ぎなく進められている、アイドル界の先頭ランナーであるディアステージさんと高瀬さんに、それぞれの事業がどのような存在なのか、またどうお考えなのか、お聞かせ頂きたいです。

高瀬:まず、「秋葉原ディアステージ」のほうは尖ったカルチャーの場として確立されています。好きな人はすごく意識して頂いていて、非常に面白い場所ですけど、入りづらい感じでシャッターも閉ざされていて中からライブの声が聞こえてくるなど、入りたい人からすると「重い扉」があるんです。以前はお客さんの集まらない日もありました。

 私が関わりだして気付いたのが、自分が元々持っている知識とか常識だけで進めてはいけない場所だ、ということでした。「秋葉原ディアステージ」だけじゃなく、そこにいる女の子やキャスト、お客様をウォッチして、「何をしたら喜んでくれるのか」「どういう場所としてここを求めているのか」というのを勉強しました。

 その上で、お店のコンセプトとして初めに、「プロモーションにお金をかけない」というのを決めたんです。いわゆる広告出稿とかをやらないでいこうと決めました。その代わりにキャストの子達の店外の活動やSNSでの情報発信だったり、来場して頂いたファンの方のバズとかで成り立たせようと考えました。初めはうまくいかなかったのですが、活躍していくアイドルグループが出てきて、さらにそこから情報を得た業界関係者の人伝や、ファンの方が頻繁にお店に足を運んで頂いて。今、「キャストとしてしっかり働くと次のステージが出てくる」ということがお店の活性化にもつながり、お客様にもそういった空気感が伝わり、経営的にも良い循環が保たれています。

 キャストとして登録しているのは30~40人(1日10~15人が勤務)、お客さんは週末だと150人ぐらい、平日だと100人前後と認識しています。


▽秋葉原ディアステージ
http://dearstage.com/






高瀬:「MOGRA」は、今任せている店長がこのジャンルの客層を掴むイベントを組むことができています。クラブって「怖い場所」「女の子だと危ない場所」というイメージが一般的にはあると思うんですけど、「MOGRA」に関して言えば、他にあまりないコンセプトで、六本木とか渋谷のクラブに行きづらいかなという層の需要をうまく取り込んで、音楽ジャンルの中でも他ではやれないようなものを「MOGRA」のなかでやるという、独自の環境づくりができているのかなと思います。

▽MOGRA
http://club-mogra.jp/





濵田:特に「秋葉原ディアステージ」は、年間通すと大きく3万人超えとすごいお客様の数です。強い印象が残る場所ですよね。確かになんとなく入りづらいかも、ですが、入ると独特の雰囲気に浸れる、そういった空間だと感じました。

 WEB戦略、サービスもかなり進められていますよね。

高瀬:「81チャンネル」という、ディアステージ所属アーティストの出演番組・動画をまとめた専用チャンネルを運営しています。「81」という数字は、日本の国番号からきています。でんぱ組.incは、「萌えキュンソングを世界にお届け」というキャッチフレーズなんですけれども、このチャンネルもコンテンツを海外に発信できるようになれたらいいな、という願いを込めてこういう名前にしました。

 いまディアステージのタレントも色んな番組に出演させて頂いていますが、番組が放送されているときは皆さんに見て頂いたり拡散されたりするんですけれど、放送後に時間が経つとその映像はどこにいったのかなという状況になってしまいますので、それらをひとつのポータルとしてまとめておけば、後から興味を持ってもらった方にも観てもらいやすくなるなと。コンテンツをダウンロードしたり、音楽を聴いてもらえることに少しでも繋げられればいいなと考えています。今後はオリジナルのコンテンツを多く作ることを目標に進めていきたいと考えています。

▽81チャンネル
http://www.81ch.tv/



高瀬:SNSに関しては、個人的には元々あまり活用していなかったので、やり方も初めはわからない部分が多かったのですが、ディアステージに集まるキャストやファンがSNSに非常に強い方が多くて、こちらから積極的に発信したり依頼をしなくても、彼らが面白いと思うものを提供できていると、こちらが意図する以上に拡散してくれたので。

 ファンの方が拾い上げて拡散する面白さというものがあって、初めは意図的にそこに頼ってやっていました。しかしファンの方だけに頼っていると、本当に発信したいものが発信できなかったり、うまく告知が広がらないとイベントとか番組がダメになってしまう。それらを補完する為に今では、例えばですけど、ディアステージでは情報の告知専門のスタッフがいて、様々なSNSに書き分けながら情報発信をする仕組みを作り上げています。

 ネットは自分よりもネット世代の若いキャスト・タレントのほうが詳しいので、指導というよりは「やってはいけないこと」や「使ってはいけない言葉のチェック」とか、リスク回避の部分を担っています。日々SNSは進化しているので、新しいアイデアを若い世代のタレントさんから逆に教えてもらって、それがマネジメント的に問題ないかどうかチェックして柔軟に取り入れているっていう感じです。SNSに関してはわりと受け身で、個人的にはいまだに皆さんから教えてもらっている感じです。

濵田:「これをやる、やらない」「組む、組まない」という決断を、ネットについても都度されてきたと思いますが、どういったお考えですか?

高瀬:たくさん露出はさせたいんだけども、ブランドを崩してしまうと拡散はしますが、最終的にプラスのプロモーションになるのか、広まったのはいいがマイナスのプロモーションになるのかっていうことを考えたときに、なるべくマイナスな形に見えないようなセーフティをかけたというのが一番強いと思います。アイデンティティーを共有できているところとだけ進めたほうがいいのかなというリスク回避で、消極的な部分もありました。

 自分たちが考えている会社全体のコンセプトとか方向性を、新しいプラットフォームの方と共有するのには、時間と労力がかかります。ですので、色んな番組などでご一緒したりして、阿吽の呼吸でわかってもらえるとことだけやらせてもらっています。今後は物理的な問題でスタッフを増やす必要がありますが、今後はいままでよりも多くの媒体さんともお付き合いしていきたいと思っています。

濵田:ファンとアイドルによる運動会企画「妄想運動会」についても、どのような経緯で立ち上げられたのかお聞きしたいです。

高瀬:「妄想運動会」はすごく単純な発想で、2020年に東京オリンピックがあるので、エンターテイメント界の人間としては何か関われたらいいな、自分たちでその機会を作ってやろうと思いました。オリンピック選手の祭典ではあるんですけど、一般の方たちが興味を持たないと最大限の盛り上がりにはならないと思っていて、だとしたらアイドルファンやアイドル本人も積極的に興味を持って、2020年に向けて国全体の取り組みのひとつとして少しでも関われたらな、という願いで始めてみました。

 「妄想運動会」以外にも今年1月からフットサルをスタートしています。これ以外にもいくつか運動と絡めた企画を、まだできるかわからないですが、ボルダリングとかゴルフとかも考えています。これらを通して、色々な層の方々にも参加してもらえたらなという想いもあります。アイドルとスポーツを絡める事で、ファンの方もライブ以外のアイドルの姿を見れるし、楽しめるかなと思い企画を立てました。また、まだ詳細は決まっていませんが、今年も体育の日に併せて運動会の会場を押さえてありますので、今年は早めに発表してたくさんのグループやファンの方々に参加してもらいたいです。

▽妄想大運動会
http://mosoclbr.com/dai-undokai/





▽フットサルイベント(バロンiドール杯:サッカーキングより)
https://www.soccer-king.jp/ballon-i-dor






このほか、ディアステージでは多くのイベントが行われている。

▽妄想キャリブレーション FCイベント





▽DEARSTAGE SHOWCASE
http://showcase2016.dearstage.com/





▽つくる写真「展」
http://dempagumi.dearstage.com/post/152849863804




後編はこちら
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