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“今日は渋谷で5時!” ベッド・インによるバブルカルチャーへの愛に溢れた 一夜限りのプレミアム・おギグ

2016/11/05 に公開

~彼女がバブルに着替えたら~バブルオンde夜霧のねるとんNIGHT ライブレポ

いつの間にか我々日本人の間にもズボッと定着した感のあるハロウィン。その前夜祭となる30日、ゾンビ、ナース、魔女やアニメキャラが闊歩する渋谷の街で、ひときわ異彩を放つイベントが開催された。その名も『~彼女がバブルに着替えたら~バブルオンde夜露のねるとんNIGHT』(死語満載!)。日本に再びバブルの嵐を巻き起こすべく活動中の地下セクシーアイドルユニット=ベッド・インがその首謀者だ。原田知世&織田裕二を連想させるこの時代錯誤なタイトルは、ある意味ハロウィンに浮かれた渋谷へのアンチテーゼでもあり(バブル時代はもっと浮かれてたじゃないか!という声は置いておいて)、彼女たちのブレない方向性の証でもある。



メジャーデビューしたって基本的には何ひとつ変わらず(変わったのはマル金パパが増えたことぐらい)ケバくてマブいちょっとエッチなお姉さん……という親しみやすいキャラはそのまま、80'sカルチャーの豊富なインプットを武器に、子供からオトナまで楽しめる一流のエンターテイメントに昇華してしまう益子寺かおりと中尊寺まい。そんな彼女たちの真骨頂を体感できるのは、やはりおギグ(ライブ)に他ならない。最初は恥ずかしそうに友達に連れられて……というバブルを知らない世代のかわいコちゃんも、ライブに通ううちにベッド・インのペースに飲まれ毒され、気づけばすっかりA女E女……というスジ書きである。11月3日の札幌を皮切りにスタートするメジャー1stアルバム『RICH』の発射記念ツアーでも、各地でそんなシンデレラストーリーが見られることだろう。



会場となった渋谷WWW Xでは、初の試みとして“バブルde仮装大賞”も同時開催されており、性徒諸クンが各々気合の入った“バブルオン”姿を披露していた。一体どこで買ってくるのか聞いてみたら、皆さん結構な割合でパソコン通信で購入している様子。フロアの真ん中にはお立ち台が設置され、開演1時間前から早くもジュリ扇が舞っている。バックで流れているのは昭和の懐かしナンバー。DJはSEX山口。サザン、聖子ちゃん、小田和正、Wink、山下達郎、チークタイムにしっとりと「壊れかけのRadio」……あぁ、泣かせるじゃないか。



そんなこんなで17時過ぎ、バブルスーツに身を包みお立ち台に上がったベッド・イン。“もっこしモコモコ盛り上がってるかい~!? 今日は渋谷で5時!”とバブルワードを交えての開会の挨拶が。「渋谷で5時」とは菊池桃子と鈴木雅之のデュエット曲が元ネタだが、なるほどこれに合わせて17時開演にしたというわけだ。

まず最初にステージに上がったのは男女混成5人組のアカシック。1曲目「8ミリフィルム」から、理姫の舌っ足らずなボーカルと4つ打ちビートがフロアを煽っていく。次の曲では一転、歌詞詰め込み系のハイテンポな曲なでステージ・アクション含めヒステリックさが垣間見れたり、バラードではドキッとするような甘い声が印象的だったり、コロコロ変わる声と表情が生々しくも楽しい。ラスト「サイノロジック」ではタイトなリズムと浮遊感ある奥脇達也のギター、キレキレのボーカルが印象的だった。

二番手のかせきさいだぁ&ハグトーンズは、「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」をSEに、バックのハグトーンズはストームトゥルーパー姿で登場。しかしなぜか、かせきさいだいぁ本人はたけしのお面で登場。ゆるめな雰囲気の中、演奏がスタートすると会場の空気は一気にタイムスリップ! めくるめくシティー・ポップスが広がっていく。1曲目の「常夏ココナッツ」なんかは甘いスウィートボイスにクリーントーンのカッティング、夕暮れの海岸線を彼女とドライブ……という表現が正しいかどうかはさておき、文字に起こすとまさにそんなサウンド。「ときめきトゥナイト」、「ルージュの伝言」といった懐かしめのアニソンカバーも、グッとアーバンに生まれ変わって、アレンジの妙も光るセットだったように思う。ちなみに、この日限定のイベントTシャツは、デザイナー/イラストレーターとしても活躍するかせき氏の手によるもの。

意外と辛口(!?)な審査員コメントで大いに盛り上がった“バブルオンde仮装大賞”の発表のあとは、いよいよ後半戦へ。竹内サティフォと斉藤伸也によるスーパーJポップユニット、ONIGAWARAの登場だ。いつもはオシャレ系の2人だが、この日は一風変わってバブルガムブラザーズのコスプレで登場。彼らの楽曲は一見すると単純明快、ノリやすさ満点なのだが、その裏にはポップス、アイドル、ロック、パンク、ダンス……豊富なルーツが見え隠れする。例えるなら、千疋屋で買ってきた高級フルーツを贅沢にミキサーにブチ込んで、飲みやすく仕上げた極上のフルーツ・オレのような……。そんな感想は、「ポップ・ミュージックは僕のもの」を聴いて確信に変わっていく。キャッチーで爽やかで、懐の深い多層的ポップ・ミュージック。ジャンルに囚われない自由さ、この雑食性こそJ-POPの本懐かもしれない。「シャッターチャンス'93」では曲名の通り、観客と撮影タイムを楽しんだり、息の合ったシンクロダンスもあったり、巧みなライブ運びが光る完成度の高いセットリストを披露した。

時刻は20時半。DJ急行&ディスク百合おんがイイ感じに懐メロで温めてきたフロアの温度もピークに。いよいよ真打ち登場だ。それまでなかったステージ上の幕が降りると同時に、「太陽のKomachi Angel」という意外な選曲でベッド・インのライブがスタート。でもあれ?何となくアレンジが違うような?? それもそのはず、2人もMCで解説していたが、これはB'zのカバーではなく、W-NAO(ダブルナオ:飯島直子と網浜直子によるユニット)バージョンのカバーだったのだ!……って、わからないよ普通! しかも1枚だけ出ているアルバムは、なぜか全曲B'zのカバーなんだそう。マニアックだが、一応みんな曲は知ってるという、ベッド・インならではの斜め上行くサプライズだった。

MCに続いてジュリ扇舞い狂う「♂×♀×ポーカーゲーム」、荻野目洋子のカバー「ダンシング・ヒーロー」を立て続けに披露、コール&レスポンス多めに客をガンガン煽っていく。彼女たちの場合、カバーと言っても決して借り物にあらず、ツボを抑えてよりハードに、より暑苦しくが基本だ。原曲のエッジを強調した結果、オリジナル曲とセットリスト上で並ぶ時にも違和感がない。それは彼女たちがマジで80'sミュージックをリスペクトしているからこそ、だ。

この日はバックバンドのパートタイム・ラバーズもコスプレ姿で参戦していて、順に紹介すると、ポリネシアン・キヨⅡ世(G/吉田栄作)、アダムタッチ高橋(Ba/坂本一生)、スローセックス石島(Dr/鈴木雅之)、舐める派JAPAN(Key/X JAPANのTOSHI)と、いつにも増してハクい装いでバブル愛をアピール。何よりバンド自身が一番このイベントを楽しんでいるのが伝わってくるのが、うれしいじゃないか! 要は「それが大事」ってことだ。

ここから一気に客席もヒートアップ。1stアルバムからの「GOLDの快感」の、かおりのパンチに溢れたドヤボーカルと、腰をくねらせ髪を振り乱しながらかき鳴らされるまいのリードギターに、体の芯が熱くなる。ロックボーカリスト然としたかおりとロリボイスのまい、2人の絡みを活かした「GIVE ME!~哀・してる~」、本編ラスト「SEXY HERO」と、客席のボルテージも最高潮に。鬼神の如き表情でリフを刻むまい、かおりのパワフルなハイトーンは、ハードロック/メタルの影響も大きく感じさせる。2016年現在のシーンを見ても、こんなド直球のロック姐ちゃんはそうそういないだろう。いつかベッド・イン in LOUD PARKなんてのも観てみたいところだ。

余韻冷めやらぬまま迎えたアンコール。「C調び~なす!」ではステージを目一杯使った渾身のボディコンロックに、ジュリ扇飛び交うフロアはジュリアナかマハラジャのごとき喧騒っぷり。この日一番のハイライトは、やはりこのベッド・インの代表曲だった。ラストは2人も客席に降りて、会場の空気は完全にひとつに。残尿感ナシ、すべて出しきった先の清々しささえ感じられる濃厚な40分。それは終演後のフロアに落ちていた夥しいジュリ扇の羽根が雄弁に物語っていた。

長年の夢だったというバブルオンのコスプレイベントを成功させたベッド・インは、今後も引き続きおバカで本気な濃厚なライブで楽しませてくれるだろう。異種格闘戦的なジャンル違いのイベントであれ、近しい匂いのバンドが集まるところであれ、無条件で観る者を取り込んでいくユニバーサル性。全国ツアーのファイナル=赤坂BLITZに戻ってくる頃、ひとまわり大きくなったバブルの申し子に今から期待しておきたい。きっと、不景気にあえぐ東京に、バブリーなクリスマスを届けてくれるはずだ。

(文:松本“チェリー”圭介)



【ツアー情報】いよいよ今週スタート!

祝!“RICH”発射記念ツアー ~そこのけ そこのけ バブルが通る~

11月3日(木・祝) 札幌COLONY  (パ~券 SOLD OUT!サンクスモニカ~)
11月5日(土) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
11月12日(土) 広島BACK BEAT
11月13日(日) 福岡DRUM SON
11月19日(土) 名古屋RAD HALL
11月20日(日) 大阪FANJ TWICE
12月4日(日) 仙台HOOK
12月18日(日) 赤坂BLITZ

【開場/開演】17:00/17:30 ※赤坂公演のみ16:45/17:30
【パ~券料金】¥3,500(D代別)※赤坂公演のみ¥4,000
【プレイガイド】
ローソンチケット http://l-tike.com/
チケットぴあ http://t.pia.jp/
イープラス http://eplus.jp/sys/main.jsp

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【ベッド・イン リリース情報】
メジャー1stアルバム「RICH」
2016/7/27(水) リリース  KICS-3404 ¥3,000+税
1.GOLDの快感 2.♂×♀×ポーカーゲーム 3.Summer Dream 4.GIVE ME!~哀・してる~ 5.成りアガりVICTORY(ベッド・イン×サイプレス上野とロベルト吉野) 6.太陽を信じて... 7.ROSA-魅惑のバリライト- 8.V.H.S. 9.SEXY HERO 10.C調び~なす! 11.真夜中のディスタンス 12.白黒つかない(ベッド・イン feat.アンジャッシュ)

<PROFILE>
益子寺かおり&中尊寺まいによる、地下セクシーアイドルユニット『ベッド・イン』。日本に再びバブルの嵐を起こすべく、80年代末~90年代初頭へのリスペクト精神により完全セルフプロデュースで活動中。
2012年、お互い別のバンドで活動していた二人が、猫も杓子もロリロリ重視の現代のアイドルシーンに殴り込みにイクかと一念勃起。バンド歴の長い二人による、ロック姐ちゃんなライブパフォーマンスと『おやじギャル』的な発言やTwitterが話題となり、日本各地を毎度おさわがせします中!
益子寺かおりの逞しいドヤ顔ヴォイスと、中尊寺まいの下心をつん裂くギタープレイによる「ボディコンロック」は健在!
弾けないバブルを貴方に・・・。

最新情報はパソコン通信&おツイで❤
◆公式サイト http://bedin1919.chu.jp/
◆Twitter https://twitter.com/bed_in1919

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